2013年2月1日金曜日

キッシンジャー回想録 中国(ヘンリー・A.キッシンジャー)|読書記録

年末くらいから、少しづつ読んでいた『キッシンジャー回想録 中国』上下巻をようやく読み終えました。ドイツ出身の国際政治学者でアメリカのニクソン政権およびフォード政権期にて国家安全保障問題担当大統領補佐官および国務長官を務めたキッシンジャーによる回顧録の一つ。

アヘン戦争前後から第5世代までに渡る中国の政治と外交について、実際にその外交に携わったものの視点で述べていてとても興味深いです。文章も読みやすくボリュームはありますが読むのは辛くありません。
著者の立場上自然なことですが主に中国とアメリカの外交について書かれています。両国がそれぞれのイデオロギーを掲げつつも、実利を求めて距離を測り合う様子が鮮やかに描かれています。中国の歴代のリーダーに対するキッシンジャーの評もとても面白いものです。彼が相手を理解することに努力を惜しまなかったことが伺えます。イデオロギーと距離を置き、冷静な視点で評価している点に交換が持てます。

碁とチェスの違いをもって中国とアメリカをはじめとする欧米の戦略の違いを解釈している記述も興味深かったです。その後もたびたび中国の行動を碁の戦略になぞらえている記述が見られかなり重要な差異と受け取っていたのでしょう。

著者の主観も大いに入っているとは思いますが、近代以降の米中外交を概観できる良書と思います。



キッシンジャー回想録 中国(上)



キッシンジャー回想録 中国(下)

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