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2012年12月26日水曜日

CourseraのThink Againが面白くてひろくおすすめしたい



無料教育オンラインプラットフォームCourseraで12月から始まったデューク大学Walter Sinnott-Armstrong、Ram NetaによるコースThink Againがとても面白いので、まだ途中ですが、初めて利用したCourseraの感想も兼ねて書き留めておきます。

Courseraって?

Courseraはスタンフォード大学のAndrew Ng、Daphne Kolleが立ち上げたインターネット上で世界中から無料でアクセスできるオンライン教育プラットフォームです。ミシガン大学、プリンストン大学、ペンシルバニア大学、カリフォルニア工科大学、イリノイ大学といった米国の大学や、英エジンバラ大学、カナダのトロント大学、スイス連邦工科大学ローザンヌ校などが参加しています。このオンライン教育プラットフォームの分野は、MITとハーバードのedxや、カーンアカデミーなど、ここ数年で一気に活性化しているように思います。私はまともに利用すのはこのCourseraが初めてです。

Think Againについて

Think AgainはそのCourseraにおいてデューク大学のWalter Sinnott-ArmstrongとRam Netaによって提供されているコースです。2012年11月26日に始まり、12週間で終了します。副題にHow to Reason and Argue「論理的に考え論議する方法」とあるとおり、論理的思考についての講義です。公式ページにあるコースの概要を引用しておきましょう。
Reasoning is important.  This course will teach you how to do it well.  You will learn some simple but vital rules to follow in thinking about any topic at all and some common and tempting mistakes to avoid in reasoning.  We will discuss how to identify, analyze, and evaluate arguments by other people (including politicians, used car salesmen, and teachers) and how to construct arguments of your own in order to help you decide what to believe or what to do. These skills will be useful in dealing with whatever matters most to you. -Think Again, Coursera https://www.coursera.org/course/thinkagain
要するに、論理的に考えることは重要だよ、いろいろ役に立つよ、論理的思考の方法について基本的なことをやるよ、ということです。

私が面白いと思ったのは、講義は当然英語で進んでいき、議論の対象も当然英語で、内容は論理的に考えることですので、自然、この講義を受けることで英語という言語そのものの理解が促されるというところです。英語で文章を読む機会のある人にとっては、その読み方を整理する良いきっかけになるのではないかと思います。
例えば、いま4週目の講義を受けていますが、ここではand と or の論議の中での役割について詳しく説明されています。1-3週目では文章の中でどの部分が前提でどの部分が結論なのかの見分け方などについて学びました。まさに”These skills will be useful in dealing with whatever matters most to you.”のとおりで、英語を読んだり聞いたりする時にはきっと役に立つ内容かと思います。私もいままで英文を読むときになんとなくやっていたことを、意識して整理できて非常にすっきりしました。

コースの進め方について

基本的には5分-25分くらいの講義ビデオを見て、選択形式の練習問題を解くという流れです。講義ビデオの中にも選択形式の問題が挿入されているものがあります。そして単元の終わりごとに小テストのようなものがあります。

講義は、教室での講義を撮影したものなどではなく、オンライン用に撮影されています。形式は講師に一任されているのか、ホワイトボードを使ったり、PCの画面?を出したり、それぞれに個性が出ています。講義は英語ですが、ゆっくりめに話していますし、重要なポイントは文字で説明しているので理解しやすいと思います。また、英語の字幕を表示することもできます。

講義は何度でも見られますし、練習問題も何回でも出来ます。単元の終わりにある小テストは1度しか出来ません。どうやらこちらで成績をつけるようです。

ほかにも、コースを受講している人たちが利用できるディスカッションフォーラムやGoogle Hang Outなどが用意されていますが、こちらはまだ利用していません。講義を聞いて課題をこなすだけで結構なロードで、そこまで手が回っていないのが正直なところです。

週に1回、新しいビデオと問題が追加されます。コース説明では週に5-6時間の学習量と書かれていますが、ビデオと課題をこなすだけならそこまでかからないと思います。

おすすめしたいわけ

私は文章を読むのが好きなので、単純に英語が読めると読める文章が増えて幸せです。翻訳されていない文章も多いですしね。なので、基本的には英語出来たほうがハッピーだよなーって思っています。
また、インターネットのおかげもあって、少ないコストで大量の情報を得ることが出来るようになっていて、わたしたちは日々、その情報を取捨選択しています。その取捨選択のフィルターはより論理的であるほうが、よりハッピーになるとも思っています。
このため、英語について理解を深めたり、論理的思考について整理したりすることで、よりハッピーになれるんじゃないかなと思うのです。このThink Againはそのために最適なコースです。

まだ、半分も行っていませんし、興味があれば除いてみたらいかがでしょうか。

と、誰かにおすすめしたいのですが、周りに人がいないので書いてみました。

Think Again, Coursera

2012年9月4日火曜日

SLEPテストが6月30日で廃止されていた

中高生を対象とした英語の試験で、高校生留学の英語レベルの測定に広く用いられているSLEPテストが、今年2012年の6月30日で廃止されたことがSLEPの運用元であるETSのページで公表されています。

About the SLEP® Test

The SLEP® test has been discontinued as of June 30, 2012. Materials cannot be ordered after that date.
If you are looking for a low- to medium-stakes, objective measure of proficiency in English for younger students, the TOEFL® Junior™ test has been specifically designed for students ages 11–15 for whom English is a foreign language. To learn more about how the TOEFL Junior test can help your students, visit the TOEFL Junior website.
ETS https://www.ets.org/slep/about

"SLEPテストは2012年6月30日以降継続されません。この日以降、SLEPテストに関する素材は注文できません。"

今までSLEPを用いていた人たちに対しては、TOEFL Juniorを代わりとなるようです。
日本のTOEFL Juniorのページはこちら

全然知らなかったです。知人の中学生で現在進行形でSLEP受けているヒトいるけど大丈夫なのかな。
どうやら高校留学のエージェントさんたちのなかには、今年中は手持ちのSLEPテストで英語力を測定するところもあるようです。来年以降、TOEFL Juniorへ移行していくのでしょうね。

追記
アルク留学センターでは、少なくとも2012年12月までのあいだはSLEPテストを実施するとコメントを出しています。
http://www.alc-communications.jp/jr/aboutslep.html

TOEFL Juniorが留学センターなどで実施できる類の試験なのかは不明です。



私事ですがお手伝いしている英語塾でもSLEP対策を行なっています。
http://meiseiacademy.com/slep_toefl_junior.php


2012年9月1日土曜日

本 vs 電子書籍 読み聞かせに向いているのはどっち?

28日発行のBEATのメールマガジン「Beating」第99号でも紹介されていましたが、the Joan Ganz Cooney Centerが印刷された本と、電子書籍のメディアの違いによる読み聞かせ体験について興味深いレポートを発表しています。
the Joan Ganz Cooney Centerはデジタルメディアを通したこどもの学習について調査研究を行なっているアメリカの団体です。

今回はこの『Print Books vs. E-books』と題された2012年3月のレポートについて紹介します。

電子書籍が登場してからある程度時間が経ちました。当初の電子書籍は、紙の本の文字列を単純にデジタル化したシンプルなものでした。それに加えていまでは、文字だけでなく音や動画などのマルチメディアが用いられたりインタラクティブな動きを取り込んだ電子書籍が現れています。

今回紹介するレポートでは、従来の紙の本、単純にデジタル化したシンプルな電子書籍、そしてマルチメディアやインタラクティブ性を取り込んだ多機能な電子書籍の3つのフォーマットを取り上げて、フォーマットによる親子の読み聞かせ体験の違いについて調査しています。

はじめに注意していただきたいのは、これはあくまで32組の親子を対象とした小規模な調査で、結論を下すにはもっと大規模でサンプルの偏りを排した調査が必要だという点です。しかし、それを差し引いても、なかなか示唆に富んだ結果が得られています。

調査の目的
調査グループは次の3つの問をたてています。

・それぞれのフォーマットで読んだ時の、親と子のやりとり、子どもの書籍にたいする行動はどのようなものか。

・子どもの読み聞かせへの没頭具合はフォーマットによってどのように異なるか。

・子どもたちの物語の理解はフォーマットによってどのように異なるか。

調査の形式
調査の形式についても簡単に紹介しておきましょう。詳しくは記事の最後に引用元のレポートへのリンクを載せていますのでそちらをご覧ください。

調査は32組の親子を対象としています。子どもの年齢は3歳から6歳。32組の親子は、読み聞かせに用いるフォーマットと、読む順番によって、次の4つのグループに分けられました。

グループ1:紙の本を先に読み、次にシンプルな電子書籍を読む。
グループ2:シンプルな電子書籍を先に読み、次に紙の本を読む。
グループ3:紙の本を先に読み、次に多機能な電子書籍を読む。
グループ4:先に多機能な電子書籍を見、次に紙の本を読む。

電子書籍はどちらのフォーマットのものもiPad上のものを用いています。
それぞれの読み聞かせのあとに、調査スタッフが子どもに質問をし、物語の理解度を評価します。読み聞かせの様子はビデオに撮り、2人の調査スタッフが没頭具合と、親と子のやりとりと子供の本にたいする行動の頻度と種類を記録します。

調査の結果
1.それぞれのフォーマットで読んだ時の、親と子のやりとり、子どもの書籍にたいする行動はどのようなものか。



Cynthia Chiong, Jinny Ree, Lori Takeuchi, and Ingrid Erickson.(2012.3)Print Books vs. E-books.より

上の図は、読み聞かせ中の親と子の行動の頻度を表しています。黒い点は書籍の内容についての行動の数を、青い点は書籍の内容に関係のない行動の数を示しています。ちなみにここでいう「行動」とは、発言や、指差し、呼びかけなどのことです。
図は大きく2つにわかれていて、左半分のSTORY Aと書かれている方は紙の本とシンプルな電子書籍を読んだグループの結果をまとめたもの、右半分は紙の本と多機能な電子書籍を読んだグループの結果です。
紙の本とシンプルな電子書籍を読んだグループでは、本か電子書籍かに関わらず、内容に関係する行動の頻度は変わりません。しかし、内容と関係のない行動は、親子ともに、電子書籍を読む時のほうが多い傾向にあります。内容についての行動の数を維持して、その他の行動(会話など)が増えているので、シンプルな電子書籍は紙の本よりも読み聞かせに適しているように思われます。
一方、紙の本と多機能な電子書籍を読んだグループでは、電子書籍を読んだ場合に内容と関係のある行動は極端に減り、逆に内容と無関係の行動が多くなっています。特に子どもは、電子書籍を読んだ時には内容と関係のある行動をほとんどしなくなっていることが読み取れます。具体的にはデバイスや機能そのものに焦点をおいた会話が多くなったということです。

2.子どもの読み聞かせへの没頭具合はフォーマットによってどのように異なるか。
引用元同上

上記の図は、調査に参加した32組の親子の読み聞かせへの没頭具合が、フォーマットによって異なっていたかを示したものです。
左のグラフは、親と子のやりとり、子供の本への没頭具合、親の本への没頭具合、楽しんでいるか、ということを総合的に評価したものです。63%の親子はは紙の本でも電子書籍でも同じくらい読み聞かせに没頭していたようです。電子書籍のほうがより没頭できた親子は6%に過ぎなかったということでした。一方で31%の親子が紙の本のほうが没頭できていました。
右の図は、子どもの本への没頭具合のみを示したものです。60%超はやはりフォーマットによらず同じように没頭していました。しかし子どもについては、電子書籍のほうが没頭できている数が多くなっています。デバイスにタッチしたりといった行動が見られたようです。

3.子どもたちの物語の理解はフォーマットによってどのように異なるか。

引用元同上

上手は、読んだ物語をどれくらい思い出せるかを示した図です。一番右の、多機能な電子書籍で物語を読んだ子どもたちの理解度が、他のフォーマットに比べて低いことが読み取れます。これは親子ともに物語とは直接関係ない、電子書籍の特徴の方に集中してしまうからだとレポートでは述べています。

所感
レポートでは「親は内容を重視するなら、読み聞かせには紙の本かシンプルな電子書籍を選ぶべき。多機能な電子書籍は、普段読書しない子の興味を引くには良い。」としています。
私は、多機能な電子書籍が内容とは関係ないところに興味を引いてしまうのは、単純にそれが新しくて、珍しい体験だからではないかと思います。デザイナーが、それらの新しい機能を上手く物語に統合できていないということもあるかもしれません。映画や、ゲームが本に比べて物語を御理解し難いか、といえばそんなことはないと思うのです。いずれマルチメディアやインタラクティブ性が物語に綺麗に統合され、多機能な電子書籍というものが当たり前の存在になっていくでしょう。その時には、読み聞かせという場においてもそのような電子書籍は素晴らしい体験を与えてくれるものになると思います。それまでのあいだは、このレポートの忠告を聞いておくのが良いかもしれません。
多機能な電子書籍は、従来の本やシンプルな電子書籍とは全く異なる体験を提供するものになると思っています。それらは対立軸で語られるものではなくて、本と映画のように並列に在るものになるのではないでしょうか。
従来の本のいいところは、文字情報という制限された伝達手段を用いることで、読み手に応じて多様な世界が繰り広げられるとことだと思います。それはそれで、いつまでも残ってほしいなと思います。


もとのレポートはこちら

Cynthia Chiong, Jinny Ree, Lori Takeuchi, and Ingrid Erickson.(2012.3)Print Books vs. E-books.
http://joanganzcooneycenter.org/upload_kits/jgcc_ebooks_quickreport.pdf

2011年7月19日火曜日

糖分シンドローム

糖分シンドロームは、児童が不安定な精神状態に陥った際に糖分を含む菓子類等を与えることにより顕れる行動パターンのシミュレーションモデル。
加納朋彦により提唱された。


概要

児童が不機嫌になったり、泣き出すなど不安定な精神状態に陥った際に糖分を含む菓子類等を与えると一時的に機嫌が良くなり、精神状態が安定する。 これを繰り返すことで、児童がお菓子をほしいがために、無意識に極端に不機嫌になりやすくなる傾向が現れる可能性がある。 糖分シンドロームはこの状態の生起を許す、児童の行動を定式化したモデルのうちの幾つかが示すシミュレーション結果の一つ。

経緯

糖分が子供の行動に対して悪影響を与えるという説は早くから出ており、1922年にはアメリカのShannonが「砂糖を含む食物は行動に好ましくない効果を与える。」と発表し、1947年にはアメリカRandolphが「精神的緊張疲労症候」という説を立てて、Shannonを支持している。FAO/WHOはこれらの説について実験されている多くの文献から、その信憑性を検証したが、結論として「砂糖は子どもの認識行動や行動を変えるという仮説は証明できなかった。」としている。
これを受けるかたちで、砂糖そのものが原因であるというよりは、それが与えられる文脈が原因なのではないかという仮設のものと、行われた思考実験がこの糖分シンドロームである。
もともと、安易に多分に糖分を含む菓子類を児童に与える保護者が増加していることを憂いて1980年初頭に提唱された思考実験であるが、時代が進むにつれ成人を対象としても同様の傾向が考えられるのではないかという議論が出始めている。

いくつかの実例や実験結果が報告されているが、科学的に有意な検証はなされていない。