ポール・J. マコーリイのSF 『フェアリイ・ランド』
高校生の頃読んで、ずっともう一度読みたいと思っていたのだけれどタイトルを忘れてしまい10数年経ってしまった。昨日図書館でたまたま見つけたので一気に読みました。
リアルな活動を「ドール」と呼ばれる、遺伝子を組み替えられた肉体にチップを埋め込まれた愛玩/労働用の生き物に任せて世界の端でバーチャルな体験に傾倒していく(金を持った)人間たち、その先端を行くこれまた遺伝子操作により生まれた天才少女、人の残したリアルの世界で増えていく知性を与えられたドール・フェアリイ。なんとも魅力的な世界で主人公の、能力はあるけれどデブなハッカー天才少女を追っていく冒険譚。だと思う。
伊藤計測の『ハーモニー』は精神と肉体、どっちがデットメディアになるのかという話で、精神がデッドメディア化する方向に世界が進む物語だったけれど、『フェアリイ・ランド』では肉体のほうがデッドメディアになる方向に世界が進んでいる感じ。でも完全にそっち側に行くの?行かないの?というのがひとつのテーマになっている。人がリアルの世界から退場したとして、その後は一体どうなるのという問にもひとつの答えを出していて心地よい。分量があって読み応えもあり、語られすぎず、でも物語として綺麗にまとまっていて人に推められる一品。またであえて本当によかった。
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