2012年5月17日木曜日

白亜紀の地層は恐竜たちの夢をみるか|私の家ではなにも起こらない

タイトル通りだと物語にならないので色々起きるのですけれど、まず恩田陸さんについて。
恩田陸さんは結構好きな本が多くて、知らない本を見かけたらとりあえず読むようにしています。色々なジャンルの本を書かれていますが、特に学校を舞台にしたものが好きで、『六番目の小夜子』や『球形の季節』なんかは何度も読んでいます。あとは会話劇、『木曜組曲』なんかも大好きです。それから『月の裏側』のような怪奇ものも面白いですね。ミステリなんかも好きですが超能力ものとかはあまり好んで読みはしないです。

今回読んだ『私の家では何も起こらない』は僕の分け方では怪奇ものに入るもので、1つの家を舞台に色々と不思議なことが起こる短いエピソードいくつか綴られています。恩田陸さんはいろんな作品の中で、場所の持つ古い記憶をテーマのひとつとしていますが、この一連のお話はその思想が色濃く出ています。おなじように場所の持つ古い記憶をテーマにした話では『球形の季節』も印象深いですが今回の作品は、幽霊話というよくある物語の形式とうまく融合して、より読みやすいお話と思います。

場所やモノが記憶を持つというのはなかなか魅力的な発想なようで、いろんな作品が取り上げています。僕の場合は、ゆうきまさみさんの『パンゲアの娘 KUNIE』なんかがパッと出てきましたがもっと沢山あるでしょう。こういったものに惹かれるのは、僕らが自分たちの有限性を自覚しているからなのかなと思います。人は数十年で死にます。人類もこの大地に比べればおそろしく短命なものでしょう。そうやって消えていった後にも、その場所に、その記憶が残る。自我のある人なら魅力を感じざるをえない発想です。

白亜紀の昔、恐竜たちもそんな事を考えたでしょうか?


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