2012年5月15日火曜日

想像可能範囲外な未来への伝言:100,000年後の安全

現在世界に20〜30万トンあると言われる核廃棄物。日本をはじめ世界のほとんどの国ではその最終処分の方法は明確に示されていません。
そんななかフィンランドでは、国内の全ての核廃棄物をフィンランドで処分することが明示し、世界で初めて、高レベル放射性廃棄物の「永久地層処分」建設を国会が承認しました。22世紀の完成に向けて、廃棄物が無害になるとしている10万年後まで安置するための巨大な地下貯蔵施設が建造されています。

『100,000年後の安全』はその建設現場の映像、プロジェクトに関わった専門家たちへのインタビュー、未来人へ向けたモノローグから構成されたドキュメンタリー映画です。

基本的な映画のメッセージは、10万年間核廃棄物を隔離することへの意味論的な難しさだと思います。10万年前といえばヨーロッパにネアンデルタール人がいた頃ですが、彼らは2,3万年前に絶滅しています。彼らの残した痕跡についてわたしたちがその意図を理解できているかといえば、そんなことはいえません。1万年も立っていないであろうピラミッドなどについても、映画の中で言っているように、の建造された意義をわたしたちが完全に理解しているとはとても言えないのです。

私にとって一番印象的だったのは、未来の人たちへこの場所は危険だということを伝えるための伝達手段の案であろうスケッチ群でした。言語やモニュメント、絵など手段の差はあれ、そこに描かれた風景はSFの挿絵のようで、遼遠の未来を考えたとき、そこから出てくるものはSFのような想像力の及ぶギリギリのところからくる想像の産物でしか有り得ないのかもしれないと思わされます。

でも、どんなに手を尽くしても、知らずに掘り返してしまうかもしれませんね。考古学者も墓泥棒も、警告の有り無しにかかわらず見つかった遺跡は掘り返してきましたし。まあもしかしたらサクっと人類もいなくなってそんな心配無用になるかもしれませんが。

10万年後どころか10年後さえ想像できないよ。

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