2012年12月2日日曜日

THE FHUTRE IS JAPANESE(VA)|読書記録


日本をテーマにしたSFアンソロジー。日本人のものが5篇、海外の人の作品の翻訳物が8篇。翻訳は結構不自然な言い回しが目立って、好みではなかった。わざと翻訳っぽい翻訳をしているのかもしれないけれど、それにしたって、というのがちらほら。以下、それぞれの雑感。敬称略。


◎「もののあはれ」 ケン・リュウ
震災直後の日本人への海外から評価を思い出す、ステレオタイプな日本人像って感じ。でも割と好き。自己犠牲の描写は『アルマゲドン』とか『インディペンデンス・デイ』とかでも出てくるし、日本に対するイメージ独特のものではないのだろうと思うけれど、滅亡に瀕する地球で、他地域では動乱が起きているのに日本では静かな生活が続いているという描写は、彼の日本人へのイメージなんだろうなと思う。この著者のストⅡ日本人キャラみたいな名前はなんなんだろ。

△「別れの音」 フェリシティ・サヴェージ
ごちゃごちゃしてあまり好みではない。ベーシックインカム導入のベースにSF装置があってちょっと吹いた。

○「地帯兵器コロンビーン」 デイヴィッド・モールズ
日本といえば、ロボットアニメ、というのもひとつのイメージなのかも。アニメノベライズ風。短編には収まりきっていなかった印象。ロボットアニメを題材にして、ハリウッドで作る戦争映画みたいなのりでガチで書いてる作品あったら面白いだろーなあと思った。この人だけ著者紹介で殆ど何も書かれていなかったのはなぜだろう。

△「内在天文学」 円城塔
世界観の説明に終始している感じで好みではない。

○「樹海」 レイチェル・スワースキー
ホラーとSFの境目ってなんなんだろうと思いつつ読んでいた。日本人が描いていると言われても信じるかも。

△「」 パット・キャディガン
困った、タイトルも中身も思い出せない。

◎「ゴールデンブレッド」 小川一水
この本の中では一番面白かった。文化交換をベースに日本文化についても書いていてテーマにも合っている。ほっこりするストーリに皮肉が透けて見えて面白い。

△「ひとつ息をして、ひと筆書く」 キャサリン・M・ヴァレンテ
中国系ファンタジー。正直良くわからない。

△「クジラの肉」 エカテリーナ・セディア
捕鯨文化、というのも日本に対するイメージの一つだよね。

○「山海民」 菊地秀行
物語は好みだけど、世界感がおおざっぱ。バランスが難しい。

△「慈悲観音」 ブルース・スターリング
対馬が舞台の歴史改変小説。ちょっと良くわからない。

◎「自生の夢」 飛浩隆
SF装置がちょっと、ぼくらは都市を愛していた(神林 長平)の情報震に似ている。描いているものは全く違うけれど。情報社会という言葉が出て久しく、いまの生活の情報インフラへの依存度を見ると、それに異常が起こったら、という発想がたくさん出てくるのは自然かも。そういう意味ではホラー味もあるよね。

○「The Indifference Engine」 Project Itoh
何故英文掲載したのかよくわからない。読んだことあったので割愛。

「ゴールデンブレッド」が良かった。小川一水さんのもの、他にも読んでみよう。

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