あくまで僕が消費したのが2014年で、コンテンツそのものは昔からあるものも多いはずです。
球形の季節|恩田陸
2014年は新しい本を余り読まなかった。実用書は何冊か読んだけれど活字の物語は何度か読んだことのあるものを読み返す事が多かった。リアルでかなりストレスフルな生活を送っていたので安心できるところに退避したかったのかもしれない。
そんなわけで恩田陸さんの本も何冊か読み返した。六番目の小夜子、黒と茶の幻想、月の裏側などなど。
そのなかでも2014年に一番良かったと感じたのは球形の季節でした。恩田陸さんの作品では形を変えて人間を「あちらがわ」と「こちらがわ」に二分する設定がちょくちょく出てきます。月の裏側然り。光の帝国然り。この球形の季節もそう。
そのあちらとこちらの分断が、他者という圧倒的に理解不能な広がりを持つ存在を象徴的に描いているように2014年の僕には感じられたのでした。つながってる部分では確かに理解し合えているけれど、その後ろ側に理解不能かもしれないものっすごい広い領域をみんな持ってるんだよね。
そんな様子を地方都市の高校生の日常と非日常に落としこんでいてすごい。
思い返すと本を読んだ時の感じ方にリアルの出来事がよく反映されてますわ。
リトル・フォレスト|五十嵐大介
映画の「夏/秋」からはいって漫画も読みました。たまたまYahoo!で「夏」オンライン先行上映があってみて、よかったので映画館に観に行きました。そのころ地方農村の暮らしに興味があったのと、主演の橋本さんが美しかったのと、食べ物がおいしそうなところに惹かれたのだと思います。
地方農村のはなしはここ数年友人と時々話題になるけど、ぱっと盛り上がって中々具体的にはなっていないです。
橋本愛さんは何年か前に「桐島、部活やめるってよ」をみて、ファンになりました。美しいんですよ。ほんと。
食べ物を、畑で育てるところから始まって、料理して食べるところまでの描写が丁寧に描かれていて元気が出る。映画館で友人とうまそううまそうって言いながら見ていました。
虫と歌/25時のバカンス|市川春子
漫画。買ったのは一昨年かもだけど2014年に何度も読みました。人と、人でないものの物語。
人の情を描くタイプのSF、だと思う。設定が素晴らしく、そこに載っている物語も完成度すごい。
日下兄妹の話が好き。ラストシーン完璧すぎる。
宝石の国も読んでます。
tofubeats
たぶん2014年に一番聞いた音楽。tofubeatsさんは水星のころから聴くようになっていたけど2014年はSummer Sonicの森高千里さんとのステージではじめて生で見て、代官山UNITのリリパファイナルにもいきました。
リリパのほうはむしろラブリーサマーちゃん目当てだったのにその時は酔っ払って眠っていたという。せつない。
音楽ジャンル的にはこれまで全然聞いたことないところなんですけれど、何故か凄く懐かしい感じがして気持ちよく聞けます。うまく言葉に出来ないけど、なんというか、やさしい終末感があって好き。マンガで言えばヨコハマ買い出し紀行みたいな。
終末感のある漫画といえば浅野にいお終末感は優しさが足りないなあと思ってたけど新連載のデデデはちょっと優しさ増してるかな??
LOVE|古川日出男
これも読み返した本。古川日出男さんの文体は妙に硬くってはじめ読みにくかったけれど今はもう慣れました。ファンタージみたいに物理的にありえないことは描かないけど、絶対にないだろうという格好良いフィクションを書く人。この本は東京を舞台に絡み合ういくつかの中編物語を集めた形です。
その中のひとつの自転車を駆る男の子とトバスコとうさぎ係の女の子がでてくる話が好きで何度も読みました。現実を見つめて、自分の居場所を見つけて、前かどうかわからないけど進んでいく子どもたちの描写がすごく良い。ちょろちょろでてくる大人たちも良い。辛くっても前に進んでいこうという気持ちになります。
スワロウテイル|岩井俊二
年末に新宿ミラノ座のラストショウで見ました。いままで2,3回は観ているはずだけどいい具合に忘れていて楽しめました。
ところどころの設定や展開はちょっとどうだろと思うところあるけれどよくわからない力があって元気がもらえる。
Star Mother|Robert F. Young
Robert F. Young ロバート・F・ヤングもよく読みました。2014年は奇想コレクションでたんぽぽ娘も出てほくほくでしたよ。
Star Motherはとても短いお話なのですが、宇宙開発時代の初期(と言っても実際の、ではなく仮想の)を舞台にヤング得意の喪失感、哀愁、やさしさが凝縮されていて何度も読みました。ふと思いましたがヤングとディケンズて少し似てるような気がします。
Ingress|Niantic Labs
Googleの社内ベンチャープロジェクトNiantic Labsによる位置情報を使ったARゲームのIngress。
7月にiOS版が出てしばらくしてから始めました。それ以降の僕のアウトドアアクティビティの大半を占めていたと言っても過言ではないです。
家の周りの神社やら公園に詳しくなったり、ゲームを通して新しい発見があり面白い、というのがはじめの印象だったのですが、途中から縄張り争いという根源的なところを暴力的に刺激されてはまっていった感があります。
最近は若干バーンアウトしてゆるゆるやっています。
沖縄/宮崎|日本
風土と文化、歴史は至上のコンテツですよ、やっぱり。
宮崎は高千穂に初めて行ったけれどさすが天孫降臨の地。伝承が息づいている感じがしました。天安河原の積石にはぞっとした。
他にもいろいろ漫画とかアニメとか小説とか映画とか消費してましたが、特に心に残っているのはこんなところでした。
振り返ってみてもやっぱり物語が好きで、2015年も物語を消費するというのが生活中心にあると思います。
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