久しぶりに日本酒飲んで酔っ払ったらめずらしく長い夢を2つ見た。1つは恥ずかしすぎてかけないのでもうひとつを書き残しておく。夢だし辻褄も落ちも何もない。
いよいよ世界の腐敗が進んできている。腐敗というのは物事が本来の形を失っていくことだ。特に顕著なのはいのちがものに近づいていってその脈動も少なくなり、ものと融合してしまっていくことだろう。
わたしたちの街はなんとかそれを避けて、いのちはいのち、ものはものとして暮らしている。だがひとたび街の外に出れば、固まり混ざってしまったいのちともので溢れかえる道だ。街から出ることは普段禁じられているがわたしは交易のために特別に月に一度なかまと共に道へでる。
そう、わたしたちの街はなぜだか腐敗を免れている。どのようにしているのかはわたしにはわからない。街のしはいしゃが守っているのだという。だがだれもその方法は知らない。しはいしゃは強権で強欲だ。この街にわたしたちを住まわせる代わりにあらゆる労働力を搾取している。
わたしのあねはしはいしゃのところに働きに出ている。仕事の内容については何も言わない。聞いても黙って首をふるだけだ。そういえばあねは随分と物静かになった。昔はよくしゃべっていたのにしばらく声を聞いていない。
ある日あねが仕事から戻らなかった。次の日も戻らない。職場に問い合わせると出勤していないという。わたしは仕事の合間を縫ってあねを探したが一向に見つかる気配はない。ゆうじんは憐れむような目でもう諦めろという。
1年が過ぎてわたしは街を出ることに決めた。
街の外は一層混沌としている。混沌としているが静寂が支配している。いのちは一層ものと交わり、時々動くものがいてもその動きはひどく緩慢だ。ところどころかつてひとであったであろうものがある。どちらかというとおおまかな輪郭は融合したもののものだ。いのちと融合することで角がとれ丸くなり、硬さがなくなり柔らかくなり、色彩がぼやけ、世界との境界が薄れ溶け出している。
わたしは世界が腐敗を始める前に勤めていた熔解炉をめざした。かつてわたしはそこで不要になった金属を溶かしまた利用できるように加工していたのだ。
何年ぶりかわからないが果たして熔解炉は残っていた。熱のせいかわからないが外壁は腐敗が進んでいるものの建物の中は当時のままだ。炉も当時のまま火が入っている。ただもはや不要な金属などはなく、炉に投げ入れられるのはかつて不要な金属であったものだ。熔解炉を動かしているのはかつてひとであったものだ。かれら(それら)は急に入ってきたわたしには目もくれずにこやかにひどく緩慢な動きで仕事をしている。
わたしは気分が悪くなり熔解炉を後にした。
街から離れるにつれ世界はどんどん輪郭を失っていく。純粋なものやいのちはもはや見られない。動くものもなく、融合したもの/いのちが視界いっぱいに広がっている。かつてたてものとよばれたもの。かつてひととよばれたもの。
それら/かれらの顔には皆穏やかな笑みがうかんでいる。そしてわたしはいつの間にか自分が笑みを浮かべていることに気づく。
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