2012年11月18日日曜日

不連続な世界(恩田陸)|読書記録



恩田陸さんの書く物語には、完全にオカルトというか超常現象みたいなものが存在する物語と、完全に現実世界ベースの物語と、両者の間の物語があると思っていて、ぼくは最後のものに好きな作品が多いです。
その間っていうのは、ある現象についてオカルトっぽい記述と、現実的な記述、両方で描写し、どちらでも説明がつく状態で、どちらかに断定しない書き方のしてあるものです。なんというか、人の目を通して発現するオカルト的な事象の描き方がすごく好きなんだと思います。

この『不連続の世界』に出てくる主人公は『月の裏側』にもできていて、『月の裏側』は完全にオカルト、というかSF?の部類でした。一方『不連続の世界』の方は両者の間のもの。連作短編なので、一作ごとにその度合は振れていますけれど。こっちのほうが大分好みです。

ある人にとってオカルティックな現象を、別の人の視点で現実的な説明をする。あるいは説明をしたものの疑問を残す。あるいは逆にある人にとっての現実的な現象を、別の視点でオカルティックに説明する。
そういうものが入り交じって、ああ、不思議なものはきっとすぐ近くにあるんだろうという気にさせてくれる、形容しがたい感覚が存分に味わえました。
『六番目の小夜子』が好きな人はきっと好きになるんじゃないかなあと思います。

ここでの「オカルト」という言葉は現実世界で存在すると一般に認められてないものを指して使っています。SFからファンタジー、幽霊妖怪、超常現象ひっくるめて。

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