2015年9月18日金曜日

祖父の足がつるつるだった話

週末に祖父の家に行き晩ごはんをごちそうになった。

食後に今年はじめての梨を頂いていると、祖父が夕方になると足がはれるという。それってはれるというかむくれるじゃないのかなあと思いつつ、マッサージしてあげることにした。

見ると祖父の足はなんだかつるつるなのである。確かにくるぶしの骨がうまっちゃうくらいにむくんで(はれて)いるのだけれど、そこから上、毛が一切生えていなくてつるつるのお肌である。

「おじいちゃん、足つるつるだねえ。」

祖父はなんだか恥ずかしそうに笑っている。

「頭だけじゃなくて他の毛も禿げるとは思ってなかったなあ」

「上のほうからだんだん禿げてくるんだよ」

「まゆげとひげは長くなってるのにねえ」

そこから村山元総理の話になり、年をとると眉毛が長くなるのは何故だろうという疑問に答えが出ないまま、遅くなってきたのでおいとますることにした。


「おまえももう30か。30代の10年間はあっというまだったなあ。」

帰り際に禿げ上がった頭を撫でながら祖父が言う。20代の10年だってあっというまだったよと言うと笑って手を振ってくれた。

駅までの道は暗いけれど涼しくて歩くのが気持ち良い。あっというまに脛毛まで禿げちゃうななんて考えながら、さんさん夜を歩いた。


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